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種 別 提言活動
タイトル 地方財政自立改革提言第5弾 分権は、この国を救う玉手箱〜開ければ負債が減っていく〜
発表日 2006/05/17
発表元
内 容 地方財政自立改革提言
〔第5弾〕

新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)
    知事・市町村長連合会議
    提言・実践首長会    
                   
               平成18年5月17日

21世紀臨調知事・市町村長連合会議/提言・実践首長会
     地方財政自立改革提言〔第5弾〕
分権は、この国を救う玉手箱〜開ければ負債が減っていく〜 

1 基本認識
○経済に明るい兆しが見えてきたとはいうものの、まだ地域により大きなバラツキがあり、また、所得格差をはじめとして様々な分野での格差拡大が指摘されている。

○一方、国、地方を合わせて800兆円の借金を抱えるなど、行財政を取り巻く状況は非常に厳しいものがあり、国、地方を通じた歳出削減が大きな課題となっている。

○このような状況を打破するためには、これまでのしがらみに捕らわれることなく、根本に立ち返り、国家の統治構造(「国のかたち」)も含めて、これまでの制度、やり方を大胆に見直していくことが必要である。

○我々は、地方にできるだけ決定権限を移譲して、地方の創意工夫を生かし、地方の活力を引き出していくことや、国、地方が、ともに努力しながら、日本を分権国家に転換していくことが、わが国の現状を打破し、未来に羽ばたく大きなステップとなると考える。

○「自民党をぶっ壊す」と宣言した小泉首相が政権について丸5年。その任期中、壊したものもあったが、手を付けなかったものもあった。また、自ら熱心に進めた改革もあれば、丸投げしたものもあった。

○小泉首相の「国から地方へ」のかけ声の下、動き出した三位一体改革。
 4兆円規模の国庫補助負担金を削減し、3兆円の税源移譲を行う平成18年度までの第1期改革は、内容的には極めて不十分な形で終わってしまった。改革の成果を国民が手にすることができなかったという意味で、第1期改革は不満の残る内容だった。 
   
○補助金改革で、各省庁に丸投げをした結果、本来の改革の意義は骨抜きにされ、補助負担率の引き下げなど、数字合わせに終わってしまい、地方の自由度や裁量の拡大につながらないものとなってしまった。

○また、平成16年度から始まった「国と地方の協議の場」は、これまで14回開催された。しかし、補助金削減の協議で見られたように、関係大臣は、官僚の作成した文章を読み上げ、省益を主張するのみであり、協議の場は、実質的に機能してこなかった。

○住民に身近な問題は、できるだけ住民に近いところで決定する。そして、住民がその決定過程に参画していく。このような中で、住民が主役となる住民自治は実現していき、民主主義が生きたものとなっていく。

○そのためにも、分権改革の一層の推進が重要である。分権が進めば、ムダを省き、地方の知恵と工夫により、少ない金額で事業を実施することにより、財政再建にも貢献できる。
 
○このように、中央集権型から地方分権型へと国のかたちを大きく転換することが、国・地方を通じた財政危機を救う道であり、行政サービスの向上や住民意識の高揚にもつながる。地方分権こそ、活力ある豊かな地域社会を創り出し、この国の未来を救う「玉手箱」である。
○「地方分権に向けた改革に終わりはない」。これは、平成17年11月30日の政府・与党合意にあるフレーズである。分権改革こそ構造改革の核心であり、ポスト小泉内閣においても、引き続き、分権改革を最重要課題の一つとして取り組むことを強く求めるものである。

2 「骨太の方針2006」に向けて
○小泉内閣の政策決定は、これまで経済財政諮問会議が主導してきた。翌年度の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」について同会議で決定し、それを踏まえて、各省庁は概算要求を行い、予算案が決定されてきた。 
 
○本年6月の骨太の方針2006は、小泉内閣における最後のものとなる。分権改革をポスト小泉の後継内閣にしっかり引き継ぐためにも、地方の意見を十分に聞きながら、骨太の方針2006において、分権改革の基本的考え方や進め方について、明確に示すべきである。

○また、今後の諮問会議そのもののあり方についても、これまでと同様の役割を担うのかどうか、構成メンバー、進め方、さらには骨太の方針のありかた等を含め、明らかにすべきと考える。特に、地方に関わる政策を決定する場に、地方側が参加していないことについては、大きな問題であり、仮に今後も従来のように諮問会議を中心として続けるとすれば、地方側が参加する場が必要と考える。  
 
3 秋の党首選挙に向けて
○本年秋に予定されている自民党総裁選挙と民主党代表選挙においては、両党は、立候補者に「党首マニフェスト」の作成を義務付け、オープンな形で政策論争を行うべきである。
 
○各候補者のマニフェストには、国と地方の役割分担、統治構造のあり方、特に中央政府と地方政府のあり方、国と地方の税財政制度などについて、この提言等も踏まえた上で、明確に考え方を示してもらいたい。

4 第2期改革(平成19年度〜)に向けた改革提言
(1)「国と地方の協議の場」を法定化し、地方行財政全般を協議する機関の設置を

・中央政府・地方政府の再構築につながるような行財政全般にわたる重要事項を協議するための機関として、(仮称)地方行財政委員会(通称「中央・地方政府再構築会議」))を法定設置すべきである。
・本委員会の位置づけは、経済財政諮問会議と同等の「重要政策に関する会議」とし、内閣総理大臣を議長、これまでの「国と地方の協議の場」の構成員(内閣官房長官、総務大臣、財務大臣、経済財政政策担当大臣、地方六団体各代表者)を常任委員、協議内容によって関係大臣等を臨時委員とする。
・なお、本委員会が法定設置されるまでの間、現行の「国と地方の協議の場」を維持し、地方側からも開催の申し出ができることとすべきである。

(2)分権改革推進のための新たな法整備を
・「国と地方の協議の場」の法定化のほか、地方分権推進計画など、改革の推進に必要な体制整備のための新たな法律(例えば「新地方分権推進法」)を制定すべきである。

(3)国庫補助負担金改革による国の規制・関与の抜本見直しを
・国庫補助負担金は、最終的には全廃すべきである。当面、第2期改革においては、地方案にある未実施の国庫補助負担金を優先して見直したうえで、現在約400件ある国庫補助負担金の総件数の半分(約200件)を廃止すべきである。行うべきである      
・これまでの改革で見られた、国の補助負担率の切下げ、単なる金額縮小や交付金化は国の規制・関与が残るものであり、断じて行うべきでない。
・また、これまでに一般財源化された事務事業や、地方の自治事務に対する国の規制・関与も残存しているので、廃止すべきである。

(4)さらなる税源移譲により地方の歳入構造を地方税中心に
・住民に身近な地方が、自主的・自立的な行財政運営を行うためには、地方の歳出については、受益と負担の関係を明確にする意味でも、できる限り自主財源である地方税で賄われるべきである。
・長らく、我が国の国と地方の支出構造が4:6である一方、税収構造が国:地方=6:4と逆転現象にあった。対等な関係(イコールパートナー)を財源で示す上でも、まず第一段階として、国:地方の税源構成を速やかに5:5とすべきであり、最終的には4:6とすべきである。 
・このため、第2期改革において、国から地方への大幅な税源移譲を実現すべきである。この場合、地域偏在の少ない消費税から地方消費税への移譲(国:地方=4:1 ⇒ 2.5:2.5)を軸にして、自立した財政運営を行える地方自治体の割合を高めていくべきである。
  
・今後、消費税の税率引き上げの議論が具体化されると見込まれるが、その場合は、地方財政計画の歳入・歳出の見直しを進めることと併せ、消費税率引き上げ分の一定割合を地方消費税とすべきである。

(5)税制度改革による地方間の偏在是正も必要
・地方の税財政制度を見直す場合、まず、地域間の偏在をできるだけ是正するような制度設計とすべきである。
・地域偏在の少ない消費税の地方への税源移譲とともに、地方税の中で地域偏在の大きい税目を国税に、地域偏在の小さい国税の税目を地方税にすることも検討すべきである。
 
(6)地方交付税制度は「地方共有税」制度に転換を
・地方交付税を、国による政策誘導の手段とすることを順次縮小していくこととし、財源保障機能と調整機能に純化すべきである。
・地方側でも、国が義務付けている不要不急の地方交付税対象経費の見直しを行うなど、総額圧縮に向けた努力を行うべきである。
・地方交付税は、本来、地方固有の財源であることから、これまでの“国が配る”仕組みから“地方で分ける”仕組みを取り入れた「地方共有税」制度に転換すべきである。
・とすべき範囲つつ形で、財源保障の対象範囲の設定や地方行財政委員会における中期的な財政ビジョンや毎年度の地方財政計画の策定過程等を、国民にオープンにし、国民的な合意形成を図る機会とすることが大切である。
・地方交付税の算定の簡素化は必要と考えられるが、人口、面積だけの算定では適正な配分の確保は難しい。このため、人口、面積以外に配慮を必要とする要素も最小限取り入れた算定方法とすべきである。
・離島や過疎地域など、特別の財政需要のある地域についても適切に財政調整が行われ、格差を是正するような制度設計とすべきである。

(7)地方財政の自主性と規律性強化のための地方債改革を 
・事業メニューごとの申請・協議方式を段階的に廃止し、借入総額についての協議により一括して借り入れできるようにして使途を弾力化すべきである。
・中長期的には、地方が国に頼らず、自治体の共同の信用力により円滑な資金調達を行い、危機対応力の強化を図るための地方共同のセーフティネットの構築を目指すべきである。

(8)国の地方支分部局の全廃を   
・地域住民に密接に関わる行政は、基礎自治体である市町村が第一義的に行い、都道府県は広域自治体として広域的機能を重点的に、国は国家としての存立の基本となる外交・防衛・金融等の役割を重点的に担うべきである。
・それぞれの業務はそれぞれで完結するようにし、国は地方に、都道府県は市町村に、極力干渉せず、二重行政を排除して国・地方を通じた行政の簡素化、効率化を図るべきである。
・国の役割の明確化及び国から地方への大幅な権限移譲に伴い、中央省庁の再々編を進めるとともに、国の出先機関(地方支分部局)の整理・縮小を進め、将来は、原則として国の地方支分部局を全廃すべきである。
・中央省庁再々編及び地方支分部局の整理・縮小に伴う職員の縮減については、計画を定めて進めることとし、再配置や、一部は地方自治体への受け入れも検討する。

(9)地方の行財政改革もさらに徹底化を 
・国と地方の二重行政をなくすことにより、国・地方を通じた公務員の大幅削減など行財政改革の徹底を図るべきである。
・地方も、自ら徹底した行財政改革に取り組んで地方歳出の一層の削減を図りつつ、スリムで強固な行政経営体に鍛え上げなければならない。そして、地域住民とともに汗をかき、知恵をしぼって、住民自治の仕組みやコミュニティをしっかりと創り上げ、自治体同士が先進的な政策を競い合う「善政競争」を推進すべきである。

5 今後の課題
 今回の地方財政自立改革提言については、地方分権の重要な基盤である税財源改革についての緊急的な提言であり、道州制を含めた広域自治体のあり方など長期的な全体像については、別途、検討を行うものとする。。
添付ファイル 060517-1.pdf

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