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種 別 提言活動
タイトル 現下の政党政治に関する緊急提言
発表日 2008/06/03
発表元
内 容 新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)
現下の政党政治に関する緊急提言〜「逃げ場のない」総選挙に向けて〜


平成20年6月3日
 
日本の政治は「逃げ場のない」総選挙に向ってカウントダウンを始めている。あらゆる意味で「先送り」という贅沢はもはや出来なくなった。敢然と立ち上がってこの試練に正面から取組み、新しい政治へと脱皮する以外に道はない。

 昨年11月、われわれは、衆参の「ねじれ」をあたかも国難であるかのように位置づけ、「法案が何も通らない国会」「動きのとれない国会」というイメージばかりが流布喧伝され、国民不在の政党間のやりとりや大連立でしか展望が開けないかのような政党政治家の言動を厳しく批判した。そして、「新しい国会情勢を踏まえた新しい政治慣行の創造」と「規律ある政党政治の実現」を両立させ、次の総選挙を「政権選択選挙」とする道筋を確かなものにすることこそ重要であると主張した。さらに昨年12月末の提言では、「首相候補」「政権公約」「政権枠組み」を一体のものとして問う、「堂々たる政権選択の年」が迫りつつあることを政党政治家と有権者にアピールした。

その後の国会審議などを通して、日本の政治がいかに多くの政策課題を抱え、しかももはや「先送り」できない状態にあることがますます明らかになった。とくに、社会保障制度の脆弱性は政府の能力の限界を際立たせ、官僚制という手段(マシーン)を使いこなせない政治の力量不足は政府機能の危機的状況を招いている。今や国民負担のあり方を堂々とテーブルの上に載せ、具体的な政策の是非を必死で国民にアピールし、国民との契約を結びなおす以外に道はなくなった。その上、環境や資源、食糧をめぐる新たな問題が互いに連鎖しつつ、われわれの前途に立ちはだかっている。

これは一言で言えば、郵政民営化選挙の余勢を駆っていつまでも政権運営ができる段階が終わったことを意味する。その意味では、今年中に総選挙を行うべきだとの世論の動向は基本的に正しい。次の総選挙は政策課題の重要性において正に「失敗の許されない」重大な選挙である。いい加減な準備と意味不明な政策論争で済ますわけにいかない選挙である。政権の枠組みをめぐっても各党がその消長を賭して臨まなければならない選挙である。有権者も自らの負担のあり方を含め、ぎりぎりの政権と政策の選択をしなければならない。あらゆる意味で正に「逃げ場のない」総選挙になる。

恐らく、歴史において大きな画期をなす選挙になるであろう。同時に、そこにこれまでの政治との決別と新しい政治の芽が伸びてくるかもしれない。そのためには、政党政治家は「堂々たる政権選択」にふさわしい準備に向けて早々に邁進すべきであり、われわれも有権者ともどもそのために努力を惜しまない用意がある。れわれは以上の認識にもとづき、以下の緊急提言を行うものである。

(1)総選挙決着の原則確認〜政党は直ちに政権公約(マニフェスト)の策定に着手を

 わが国が採用している議院内閣制では、参議院の多数派にかかわらず、政権の成立は衆議院の多数派に立脚している。この政党政治の原点に立ち戻り、「総選挙決着」の大原則に従って、政党政治家と国民との関係を改めて仕切り直す必要がある。今日にいたる政治の混迷と停滞を見るとき、われわれには、このこと以上に大事なことがあるとは到底思えない。

 そのためにも、政権掌握をめざすすべての政党は、何よりも先ず、直ちに政権公約策定の準備に取り掛かる必要がある。日本の政党政治は総選挙を必要としているが、何らの準備もなされないまま、ただ漫然と総選挙が行われることは日本国民の不幸という他はない。

あるべき政権公約は、必要な項目を網羅し具体性を併せ持つといった内容面はもちろん、その策定過
程において党内合意を取り付けるための政策論争を経ることでより実現可能な形に鍛えられる。そのように考えた場合、次の総選挙が遅くとも1年3ヶ月以内に控えた現時点において、政権公約の策定が各政党内で開始されていなければならない。
 
すでに、政権公約の策定に着手すべきだという意見は多くの政治家から表明され始めている。われわれが組織した「せんたく」と連携する超党派の「せんたく議連」(共同代表=河村建夫、野田佳彦、マニフェスト分科会座長=石原伸晃、小沢鋭仁)においても、あるべき政権公約について精力的な検討が着々と進められている。われわれは「せんたく議連」のこれからの活動に期待し、同議連が国民の求める政権公約のあるべき姿について党派を超えた共通の基盤の形成を促進すること、それぞれが所属する政党において来る総選挙に向けた政権公約策定の党内態勢の整備を促し、策定作業を確かなものとしていくことを期待するものである。

また、われわれ21世紀臨調も、国政選挙の直前に「政権公約検証大会」を主催してきた実績を踏まえ、本年10〜11月、「せんたく」議連や各党関係者、国民各界の協力を得て、「政権公約策定推進大会〜来る総選挙で政党が国民に説明を果たすべき政策課題と政権公約のあり方」(仮称)を主催し、1)政党の政権公約策定作業を促進すること、2)来る総選挙において政党がその政権公約において国民に説明を果たさねばならない政策上の重要論点を明らかにすること、3)政権公約の形式やあるべき姿について国民的な論議を喚起し超党派的な合意を形成すること、4)その際、政権公約と衆参両院の関係について政党と国民との間で議論をさらに深めることを表明するものである。各党においても、そうした機会を念頭に置いて、今後、政権公約策定作業が精力的に進められることを期待したい。


(2)党首の選択と政策の選択〜民主党は代表選挙で政権選択の最終準備を
 
総選挙は、政権掌握をめざす政党が「政権の枠組み」「首相候補」「政権が実行すべき政策の大枠=政権公約」をセットで提示し、国民に「政権の選択」を求める場である。この意味で、「首相候補」を掲げて総選挙に臨む政党は、政策とリーダーの一体性を確保するため、党首と政策の大枠がセットで選ばれる仕組みを確立する必要がある。

とくに、党首選挙にあたっては、政権公約に実質を与え、党内指導体制を確立するためにも、立候補者は推進しようとする政策や実行体制を「党首マニフェスト」として提示し、国民に開かれた党首選挙を通じて本格的な政策論争を行い、その結果、勝利した候補者の「党首マニフェスト」を大枠として次の総選挙における政党の政権公約が策定される手続きを定着させるべきである。
 
民主党は本年9月に代表選挙を予定している。本格的な政権選択時代を迎えた今、今回の民主党代表選挙は、民主党が政権獲得の最終準備にむけて党内体制を固め、政権運営や政策路線の方向を定めるとともに、民主党の首相候補が最終的に確定したことを国民に知らせる、今までに経験したことのないきわめて重要な選挙となる。それだけに、民主党は上記の原則に基づき、「党首マニフェスト」を軸に堂々の代表選挙を行うべきである。この意味で今回の代表選挙では、「誰を選んだか」ということ以上に「どのように選んだか」が国民から厳しく問われることになる。

われわれ21世紀臨調は過去の自民党総裁選においてもその趣旨の提言を数次にわたって行うとともに、平成18年9月に行われた総裁選では、安倍晋三、麻生太郎、谷垣禎一の総裁選全立候補者を招き、自民党選挙管理委員会公認による初めての民間主催の公開論会を開催している。
 
そうした経緯を踏まえ、われわれは、必要であれば、本年9月に予定されている民主党代表選挙においても、立候補を表明した全候補者を招き、「政策本位の民主党代表選推進大会〜候補者の党首マニフェストと政権選択の道筋を問う〜」(仮称)を開催し、国民に開かれた政策本位の候補者討論会を行う用意があることを表明するものである。民主党が、政権を狙う政党にふさわしい堂々たる党首選挙を行い、国民にその説明責任を果たすことを期待したい。


(3)政権公約の充実を〜重要課題に関する主要政党の立場を競え
 
現在の日本政治を取り巻く環境は厳しく、さまざまな政策課題が目白押しであるとともに、厳しい財政状況など、単に施策を提示するだけではなく、その実現のための財源を示すことが一層求められる状況にある。このように、政権運営に必要不可欠な重要課題について明確な方針を立て、政権公約に書き込むことのできない政党は政権を担当する資格がない。

そこで、国民負担も含めて主要政党が責任ある政権公約を準備するとともに、長い時間をかけて論争を展開し、それぞれの政党の立場が一般の有権者にも理解できるように論点を絞り込む努力が不可欠である。その意味で、国会において「党首討論」を頻繁に開き、「党首討論」を通じて論点の明確化を進めるとともに、あらゆる機会を捉えて、政党間の論争を活性化することが必要である。そして、絞り込まれた論点について各党が政権公約に盛り込み、明確な選択肢を示すとともに、同時に、主要政党間の共通基盤を作ることが求められる。思いつきではない、しっかりとした政策体系の提示を、主要政党が競い合うことを期待する。


 
われわれは、先に提唱した「政権公約策定推進大会」や「政策本位の民主党代表選推進大会」を通じて、そうした重要課題に関する主要政党間での競い合いの場を提供するとともに、政党間における共通基盤形成をめざすものである。また、われわれは、「せんたく」「せんたく議連」に働きかけ、「国会改革」「霞が関改革・公務員制度改革」「地域主権確立」など政治の基盤形成に関わる諸課題についての合意を積み上げるとともに、総選挙で国民に問うべき課題については政党が政権公約において堂々と国民に問う仕組み作りを促進するものである。


(4)これまでの諸改革の成果を結集する総選挙を

 来る総選挙は、これまで進められてきた政治改革にとっても、きわめて重い選挙になる。政治改革によって小選挙区制が導入されてから多くの歳月が過ぎた。政治が混乱し、あるいは膠着状態に陥り、収拾がつかない場合は、十分に準備を行いタイミングよく国民の側にボールを戻し、国民の側に判断を委ねる慣行を政党は身につける必要がある。政権掌握をめざした政党間の健全な競争を否定し、無原則な妥協と談合を繰り返すところからは「政治の不毛」しか生まれない。一部で報道されているような、政権公約(マニフェスト)の意義を否定し、中選挙区制への回帰を求める政治家の言動は論外であり、政党政治家のご都合主義以外の何ものでもない。

小選挙区制は長年の政治改革のなかで政治資金制度改革や政党助成制度と一体のものとして導入された。そして、副大臣・政務官の導入や国会の党首討論も、首相を中心とする内閣主導体制の確立(=政治主導体制の実現、あるいは「官僚内閣制」から本来の意味での「議院内閣制」への転換)も、政権交代可能な政党政治の実現も、近年の政権公約(マニフェスト)の導入も、そのすべてが民意を直接的な「政権選択権の行使」という形で集約する「小選挙区制原理」に基づいて組み立てられ、長年の政治改革の努力のなかで営々と築きあげられたものであることを、忘れてはならない。

 「逃げ場のない」歴史的な総選挙を迎えようとしている今日、政党・政治家と有権者の双方が竹下内閣から今日にいたる政党政治の歴史と、その中で積み上げられてきた政治改革の軌跡を、今一度再確認する必要がある。そして小選挙区制の導入以降これまで積み上げられてきた諸改革の成果を結集する総選挙を実現すべきである。

 われわれ21世紀臨調も、このような観点から、「政治改革史検証会議」(座長=佐々木毅座長、副座長=田中宗孝日大教授)を6月18日に発足させ、1)リクルート事件から今日にいたる政治改革の軌跡をその時々の日本の政党政治の歩みを踏まえながら通史的に検証すること、2)その作業を通じて、日本政治の今を考えるための視座をできるかぎり多くの方々と共有すること、3)政治改革の記憶を若手の政治家や研究者に継承していくこと、以上を目的に、来る総選挙に向けて本格的に活動を開始することを表明するものである。
添付ファイル 現下の政党政治に関する緊急提言.pdf
政治改革史検証会議について.pdf

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