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種 別 提言活動
タイトル 総選挙に向けての緊急提言
発表日 2008/09/25
発表元 新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)
内 容 新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)
総選挙に向けての緊急提言
〜来る総選挙を歴史的な政権選択選挙とするための条件整備〜


平成20年09月25日
基本認識
日本の政治はきわめて厳しい状況にある。政策課題は内外で山積している。にもかかわらず、政権は実績をあげる暇もなく相次いで崩壊している。先送りによって事態がさらに厳しくなるのは明らかである。

この悪循環を断ち切る望みの綱が今度の総選挙である。政党政治への信頼は大きく傷つき、しかも財政は大赤字で「逃げ場のない」状態に追い込まれている。国民の生活もかつての余裕を失い、「逃げ場のない」悲鳴が随所であがっている。その意味で「逃げ場のない総選挙」に向けてカウントダウンが始まっている。

しかし、騒々しい総選挙を行うだけでは先の悪循環を断ち切ることはできない。ここで立ち返るべきは「政治は頭脳でおこなうものである」という原点である。状況が厳しいことを踏まえてぎりぎりまで頭脳すなわち判断力を研ぎ澄ますこと、そして、優先順位を明確にして一つ一つ課題を解決していくこと、この政治において言うは易く行うは難い実践を、政治家と国民双方が今回の総選挙を通して行わなければならない。

その意味で、来る総選挙はまさに「日本の民主政治の真価を問う総選挙」である。失敗した時のダメージは限りなく大きい。

幸い、消化試合のような総選挙とは違った環境が整いつつある。そうした環境をさらに一層入念に整備し、政治家にとっては悔いのない、国民にとっては精神的にずしりと手応えのある総選挙、一言で言えば、「歴史的な政権選択選挙」を行うことによってのみ、「新しい日本」への展望が開かれる。今こそ、そのために必死の努力をすべき好機が到来したのである。



1.来る総選挙に向けての政策論争

1)首相候補同士の党首討論を
  総選挙は入念な事前の準備を踏まえて行われるべき国民的大事業である。今日に至る経緯を踏まえれば、できる限り早期に総選挙を行うのは当然だが、周到な準備も政権公約をめぐる国会論戦もなされないまま、漫然と総選挙が行われることは日本国民の不幸という他はない。与野党はできる限り早期にそれぞれの政権公約を策定し、活発な政策論争を通じて、来る総選挙において国民に問わねばならない争点を明らかにすべきである。とくに、自民党・公明党の連立与党と民主党は首相候補同士による堂々の論戦を繰り広げ、来る総選挙を名実ともに「首相候補」「政権公約」「政権枠組み」を一体的に選択する「政権選択選挙」とする責務がある。連立与党と民主党はそのための努力を精力的に行うべきであり、21世紀臨調としても首相候補同士による対決型の党首討論を主催する意思を表明し、双方に申し入れるものである。

2)連立与党と民主党の閣僚同士の政策論争を
    また、連立与党と民主党はそれぞれ政権構想を国民に具体的に伝えるためにも、政策分野ごとに「閣僚級」同士の論戦を行ってしかるべきである。24日、麻生内閣が誕生し、政権交代を目指す小沢民主党代表も、「次の内閣」の編成にあたっては国民が民主党政権の姿を具体的にイメージできるような布陣を敷く方針を表明している。連立与党と民主党の「閣僚」同士が公開の場で論戦を行えば、首相候補のみならず、チームとして政権を賭けた競い合いを行う選挙が実現し、国民により豊かな判断材料を提供することができる。連立与党と民主党はそのための努力を精力的に行うべきである。


 2.政権選択に相応しい政権公約のあり方

1)政党は責任ある政権公約の策定を
政権公約(マニフェスト)は単なる紙ではない。それは、政権が遂行すべき政策の大枠を国民が選択するための手段であり、政府に目標を与え、官僚機構を動かすための青写真であり、まさに「国民と政党との契約」である。来る総選挙を名実ともに歴史的な政権選択選挙とするため、政権掌握を目指す自民党・公明党の連立与党と民主党はその政権公約において、

(1)それぞれが目指す日本社会の将来像と時代認識
(2)日本社会の将来の姿を国民が具体的にイメージできるような政策の体系
(3)実現すべき政策の優先順位と実現手順
(4)目標を実現するための個別手段(政策)と裏付け
(5)内閣や政権運営の具体的なプラン

以上の諸点をできる限り分かりやすく示し、国民にとっては検証・評価が可能であり、政党がその実現に責任の持てる政権公約を策定する義務がある。連立与党であれ、民主党であれ、政権運営に必要不可欠な重要課題について責任ある方針を立て、政権公約に書き込むことができなければ、政権を担当する資格はない。責任ある政権公約なき総選挙は国民不在の「白紙委任選挙」であり、後に新たな混乱状態をもたらすだけである。

2)与党は歴代内閣の総括を
また、与党である自民党・公明党は、前回総選挙から今日に至る政権担当期間中の政権実績を総括した上で政権公約を策定する必要がある。2005年の総選挙以降、小泉内閣、安倍内閣、福田内閣、麻生内閣と次々に内閣の交代が繰り返され、国民が政権に実現を託し、政権がその実行に責任を持たねばならない政策とは何かが、わからなくなっている。これは、「マニフェストの危機」以外の何者でもない。自民党はこのように責任の所在がきわめて曖昧な今日に至るまでの政権の姿を総括し、総裁の方針を党の政権公約に発展させていくための作業を早急に進め、党として国民に実現を約束すべき政策を改めて再確認し、国民に示すべきである。

3)連立枠組みと連立政権公約の提示を
また、選挙協力を行い、選挙後に連立を組むことを前提に総選挙に臨む政党は、実現を目指そうとする政策の大枠を事前合意し、「連立政権公約」として国民に示す必要がある。すでに自民党と公明党は今回の総選挙においても選挙協力を行い、選挙後、連立政権を組織する意思を明らかにしている以上、「連立政権公約」を事前に明らかにす べきである。また、民主党もいずれかの政党と連立を前提にして総選挙に臨むのであれば、その「連立政権公約」を策定し、国民に対する説明責任を果たすべきである。

4)民主党は政権交代への不安を払拭する具体的な構想を
   また、わが国では、選挙によって政権を交代する習慣がいまだ確立されていない。 そのため、国民のなかには必要以上に政権交代に不安を抱くむきもある。そこで総選挙で政権交代をめざす民主党は、丁寧に政権公約を策定し、政権を獲得した際の具体的なイメージを示すことにより、そうした不安を解消すべく努める必要がある。とりわけ、政権運営の経験のない政治家を数多く抱える民主党は、党首を中心とするチームとしての政権がうまく機能することを、あらかじめ示すべきである。


3.総選挙を通じた新たな超党派合意の創造

1)衆議院選挙決着原則の合意形成を
来る総選挙は政権の選択を問う歴史的な選挙であるとともに、政権公約をめぐる衆参両院の関係を整理する絶好の機会である。わが国が採用している議院内閣制は、参議院の多数派にかかわらず、政権の成立は衆議院の多数派に立脚している。与野党は議院内閣制の原理原則に立ち戻り、今回の総選挙を通じて、総選挙で勝利した政党の政権公約を尊重する「衆議院選挙決着の原則」を確立すべきであり、政権選択選挙である総選挙を基本として政権・政策のサイクルを立て直し、国民との関係を仕切り直すべきである。この意味で、今回の総選挙は、「歴史的な政権選択選挙」を実現するとともに、責任ある政党政治とマニフェスト・サイクルの確立に向けて、「衆議院選挙決着の原則を与野党が合意する選挙」とすべきである。

2)各党は総選挙で新しい国会ルールの具体案を
国民は昨年の参議院選挙から今日に至るまで、衆参両院の「ねじれ」を嘆くだけで、「新しい国会情勢を踏まえた新しい政治慣行の創造」と「規律ある政党政治の実現」の両立に道筋をつけることさえできない与野党の姿を目の当たりにしてきた。こうした現実を直視するならば、各党の政権公約は、その実現に向けて国会を具体的に動かすための方法、対立する法案を合意に導く道筋がセットで示されなければ、説得力を持ち得ない。各党は前述した「衆議院選挙決着の原則」と同時に、両院協議会の活性化や委員会審議の改革、政党の党議拘束の見直し、両院制度のあり方など、今日の衆参両院の状況に対応した新しい国会運営のあり方や政治慣行の具体策を国民に示すべきであり、総選挙における豊かな論戦を通じて各党間の合意形成を促進すべきである。


すべての国民へ・・・
政権公約の策定であれ、国会の運営であれ、政党自らの経営能力、自己統治能力なしには前進できない。自己統治能力のない組織が国民を統治できないこと、官僚制を統治できないことは自明の理である。
政党政治においては、政党が自己統治能力を磨くことは何にもまして大切である。「政党は国民のために、政治家は政党のために」という基本原則を骨の髄まで叩き込むことを怠り、政治家たちが互いに甘えあい、それを国民が甘やかすという逆立ちした構造が今日のような危機を招いた根本原因である。
この構造を変える力を持っているのは究極的には国民である。そして、甘やかしたツケを支払わされるのも、政治家ではなく国民である。国民はこのことを肝に銘じたうえで、来る総選挙に臨むべきである。
添付ファイル 総選挙に向けての緊急提言.pdf

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