公益財団法人日本生産性本部 トップページ 研修・セミナー コンサルティング 調査研究 書籍・手帳
調査研究
 調査研究トップ > 詳細検索 > 検索結果 > 情報詳細

情報詳細

種 別 提言活動
タイトル 地方分権改革推進委員会に関する緊急提言」〜安倍内閣が責任ある政治主導体制で改革を進めるために〜
発表日 2007/03/16
発表元 新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)
内 容 第1.地方分権改革推進閣僚会議の設置

1)委員会は関係省庁との個別折衝に関与せず、原案立案に専念を
2)安倍首相は「地方分権改革推進閣僚会議」の設置を
3)閣僚会議は地方6団体代表との協議慣行の確立を


昨年末の臨時国会で成立した地方分権改革推進法は先の地方分権推進法をモデルにし、その規定内容をほぼ全面的に踏襲している。大きく異なる点は、先の地方分権推進法では委員会の勧告又は意見に対する内閣総理大臣の尊重義務が定められたのに対し、今回の法律ではその規定が削除されたことである。
 
これは適切な判断であった。橋本内閣時代、この内閣総理大臣の勧告尊重義務は大方の期待に反して委員会の権限強化に寄与せず、むしろ、委員会の調査審議を大きく拘束することになったからである。

すなわち、当時の橋本首相は、「現実的で実行可能な勧告を期待する」と繰り返し述べたが、「現実的で実行可能な勧告」とは「閣議決定が可能な勧告」とされ、それはさらに、「関係省庁に異論のない勧告」を意味すると理解された。

この結果、橋本内閣時代の地方分権推進委員会は、自ら関係省庁との個別折衝を積み重ね、そこで合意した事項のみを勧告に盛り込むという作業を余儀なくされたのである。

 しかしながら、この方式で達成可能な改革はほぼすべて第1次分権改革に盛り込まれている。その後に始められた「三位一体改革」の経緯で明らかなように、第2次分権改革以降は、関係省庁の同意を得ることはほとんど見込めない課題ばかりである。



従って、このたび発足する地方分権改革推進委員会が、橋本内閣時代の地方分権推進委員会の調査審議方式を踏襲し、関係省庁との個別折衝を重ね、関係省庁の同意を調達する方式を採用したのでは、改革の成果は望むべくもない。

この先の分権改革は、旧来型の審議会(8条機関)の手に負えるものではない。第2次分権改革以降の改革はすべて、「政治主導」に拠らなければ実現できない。地方分権改革推進委員会はもっぱら改革原案の立案に専念し、これに対する関係省庁の賛否のいかんにかかわらず、これを安倍首相に勧告することを自己の任務とすべきである。言い換えれば、改革案の採否の判断は関係省庁の手にではなく、安倍首相を中心とする内閣の手に委ねるべきである。

 そのためにも安倍首相は、地方分権改革推進委員会の発足と同時に、地方分権改革推進委員会の勧告又は意見を閣議に先立って受けて立つ少数の主要閣僚による「地方分権改革推進閣僚会議」(仮称)を設置する必要がある。

「地方分権改革推進閣僚会議」は例えば、首相を中心に、官房長官、地方分権改革担当大臣、財務大臣、総務大臣、経済財政担当大臣等の少数の閣僚で構成するものとし、地方分権改革推進委員会の勧告又は意見を精査し取捨選択し、その採否の原案を閣議に上程することを任務とする。

首相はこのような仕組みを活用して、地方分権改革推進委員会の改革案を基に地方分権推進計画を決定し、関係省庁にその実行を迫るのは専ら内閣の任務とする本来の政治主導の仕組みを構築する必要がある。
 
 また、この「地方分権改革推進閣僚会議」が委員会の勧告又は意見を精査し取捨選択をし、その採否を最終決定する過程で、地方6団体代表と必ず協議し意見を聴取する慣例を確立する必要がある。この慣例が確立すれば、国と地方の協議の場が恒常化することにもつながり、地方6団体がかねて法制化を要望してきた地方行財政会議の仕組みと実質的にはほぼ近い効果も期待できる。

そして、これらの仕組みがすべて整えられたならば、今般の地方分権改革推進委員会は実質的に経済財政諮問会議における民間議員の役割に相当する役割を担うものへと、その機能や位置づけを整理し直すことが可能になる。

それはまた、政治主導を掲げながら官邸内外に同分野の各種会議が乱立し、責任と実行力のある体制を組めずに苦心している今日の安倍内閣が、内閣を構成する各国務大臣が首相を中心とする一つのチームとなって改革を推進するという政治主導の原点の姿に立ち返って諸々の体制を立て直す契機になるものと思われる。



第2.調査審議事項の選別と優先順位の徹底〜税源移譲と規律密度緩和を〜

次に、地方分権改革推進委員会の検討作業を実効あらしめるためには、調査審議事項についても選択と集中を徹底し、検討課題についての優先順位を適切に設定することが不可欠である。

小泉内閣時代の竹中ビジョン懇談会の提言に由来する地方分権改革推進法→地方分権一括法の流れからすれば、地方分権改革推進委員会の中心的任務とは、中途半端な状態のまま中断されている「三位一体改革」を着実に継続し、税財源の移譲を進めること、これと並行して法令の規律密度の緩和を進め、自治体の自由度を拡大すること(法令による義務付け、枠付けの緩和)の2点である。

地方税財源の充実確保と規律密度の緩和は、相互に密接不可分の関係にある一群の改革課題である。一連の三位一体改革によって国庫補助負担金の廃止や縮減は進んだものの、仮に税源移譲等で自治体の一般財源が充実強化されたとしても、法令や補助要綱等に基づく規律の密度が大幅に緩和されない限り、自治体の自由度はあまり拡大しないことも指摘され続けてきた。

税財源の移譲も、法令等の規律密度の大幅な緩和への挑戦も、いずれも、関係省庁からの同意調達が期待薄なきわめて困難な課題である。委員会の発足にあたっては、この2つの項目を最優先課題と位置づけ、集中的な検討を行なう意思統一が確立できなければ、委員会の検討作業は徒に混乱に陥ることにもなりかねない。

 とくに、この点について危惧されるのは、今回の地方分権改革推進法が先の地方分権推進法をモデルとし、その規定内容をほぼそのまま踏襲しているため、調査審議事項も幅広く規定され、上記2項目以外にも、「権限移譲の推進」と「地方行政体制の整備及び確立」が含まれていることである。

しかし、「税財源の移譲」と「法令の規律密度の緩和」が自治体の自由度を拡大する改革であるのに対し、「権限移譲の推進」と「地方行政体制の整備及び確立」は自治体の所掌する事務の範囲を拡大する改革である。両者は異なる目的を追求する、異なる群に属する改革である。

「権限移譲の推進」に踏み込めば、委員会の調査審議事項から外された「道州制ビジョンの策定」と再び議論は混線する。「地方行政体制の整備及び確立」については、橋本内閣時代の地方分権推進委員会がこの条項に基づいて市町村合併問題まで調査審議することを迫られた経緯がある。このたびもまた、現在、次々と自治体の不祥事が明るみになっており、自治体の自己改革を求める世論の高まりを考えれば、「地方行政体制の整備及び確立」を優先して審議すべきだという意見が強まるかもしれない。しかし、そのような形で、戦略を決めずに漫然と手を広げていくことは、地方分権改革推進委員会の検討を混迷させるだけである。

安倍首相は地方分権改革推進委員会の発足にあたって、安倍内閣として委員会の検討に何を求めるのかを明確に示す必要がある。そして、安倍内閣が小泉内閣時代の総選挙の議席を受け継ぐ小泉継承内閣である以上、地方分権改革推進委員会の最優先課題は、税財源の移譲と法律の規律密度の緩和であることを明言すべきである。

以 上
添付ファイル 2007.3.16提言.pdf

▲ページTOP
COPYRIGHT JAPAN PRODUCTIVITY CENTER. ALL RIGHTS RESERVED.